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zoom RSS ソニー製リチウム・イオン電池の発火問題

<<   作成日時 : 2006/10/15 11:20   >>

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 ソニーの電池発火問題に関するプレスリリースを追ってみた。発端は昨年とされるが、実際に露見したのは米Dell社が自主回収(米国内270万個、米国外140万個)を発表し、引き続き、米国消費者製品安全委員会(CPSC)がこれを公表したことに始まる。この時点(2006/08/15)でソニー社からは特段の発表が行われた形跡はない。その後、問題は米Apple社に飛び火した(米国内110万個、米国外70万個)ソニーはこれを受け、アップル社とCPSCのリコール発表があったことを報じたものの、同時に、生産プロセス上の対策はすでに実施済みであり、これ以上の問題に発展することはないとし、さらに、発火・発煙は電池そのものの問題の他、コンピューターのシステム設計の問題もあると断じた。この発表を目にし、ある種の違和感と妙な既視感を禁じえなかった。

 9月28日、Lenovo社と米IBM社が更なるリコール(米国内17万個、米国外37万個)を発表し、CPSCはノート型パソコンの発火・発煙問題に関する注意喚起文書も公表した。これを受けて、ソニーは2回目のプレス・リリースを行った。しかるに、その内容はLenovoやIBMのリコールに問題が拡大したことには触れず、@自社製造のリチウムイオン電池の回収・交換を全世界規模で実施すること、A他のPCメーカーにも問題を通知することを表明したのである。疑問を感じたのは、この期に及んでなお、「システム設計の問題がある」との見解を繰り返し表明した点にある。その後、ソニー製の電池(正確にはバッテリーパック)を使用している国内のパソコンメーカー(日立、富士通、シャープ、東芝など)も軒並み回収発表に踏み切った。報道資料では米CPSCと協議し、近日中に「自主交換プログラム」を発表するとされたが、その続報はない。

 この間、製造物安全管理を担務する経済産業省は、メーカーに報告を求めるとともに、検討委員会を設置する旨の発表を行った(8月24日)。さらに、アップルコンピュータに飛び火したことを受けて同社にも報告を求めた(8月29日)。いずれの対応も後追いで詳細報告を求めるという姿勢に止まり、米CPSCがノートパソコンの安全性に関する注意喚起文書を、いち早く公表したのとは対照的である。昨年11月に東京で発生したDell社のノートPCの発火問題は経済産業省に報告されていたと推定されるが、その後、同省から有意な情報が提供されたとは考えない。

 本件は、企業業績・株価に与える影響、メーカー体質の問題、広報活動のあり方、ガバナビリティの問題、量産品の品質管理、セットメーカーとの情報交換の問題、エンドユーザに対する説明責任、業界全体の対応、監督官庁の機能限界、損害賠償責任、等々、多面的な切り口で論じられることであろう。ここではソニー社の強調する「システム上の構成の違いによる影響」との技術見解について考察を加える。

 報道発表に妙な既視感を覚えたのは、20年ほど前、半導体LSIの品質問題で同じような経験をしたことにある。開発設計を統括したディジタル通信用LSIが、市場出荷後、発煙・破裂するという問題が国内外で頻発した。量産移管後の問題は品質管理部門や生産技術部門が主として対応に当るが、その分析機能には限界があり、開発部門も原因究明に追われた。当然、生産ロットによる差異や納入先のシステムによって不具合の発生度合いは異なる。元々システム設計の経験が長かったこともあり、LSI周辺保護回路の仕様・設計の問題やシステムの試験・評価の問題を指摘し、防戦を試みた。しかるに、破裂・発煙するのはLSI部品そのものなのである。少しばかりの時間稼ぎや費用負担軽減を意識したことが、結果として本質的な原因解明を遅らせ、不具合の規模を拡大したと考えている。

 フィールドでの品質問題は、与える影響の大きさを抑制しようと考えるあまり、対応を誤ることにもなる。最近でも松下電器の石油ファンヒータやパロマ工業のガス湯沸かし器の不完全燃焼問題、シンドラー社のエレベータ事故など、その不手際が際立っている。ソニー社も原因解明と対策を優先し、エンドユーザに対する説明責任を自ら果たすべきであろう。システムの差異に原因があることを部品メーカーの立場で立証するのは困難であり、とるべき態度や役割ではない。原因となる電池がなければ発火・破裂は起こらない。更には、電池パックが無くともノートPCは動作可能なのである。共同責任論に固執する基本姿勢は、企業風土やマネッジメント品性の発露ではある。

傍証:発火問題の露見に先立ち、ソニーは報道発表ではなく、PCサポートのWeb上でバッテリーパックを純正品とするよう警告している。他社製電池をソニー製PCに使用した場合、発火・発煙・破裂が起きることがあるとの内容である不具合発生事例をソニーは自社の問題とは認識し得なかったのであろうか。また、この時点で最も多くの情報を入手していたソニーは、自社のPCと電池の双方を守ろうとし、他社(者)への慮りを失っていたのであろうか。哀しいかな文脈上は、システム設計の対応では発火を防護し切れないことを認めたのか、あるいは自社製PCにはシステム設計上の問題があることを認めたのかの何れかに解釈されるのである。

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