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zoom RSS 裁判員制度寸評

<<   作成日時 : 2009/05/27 20:12   >>

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 裁判員制度がいよいよ実施される。人権の砦を担う司法が国民感覚から離反しているとの批判があること、他の先進国の多くが類似の国民参加の制度を確立していること等が背景にあり、司法への信頼向上を図ることが主たる目的とされる。

  国家権力の行使である裁判は、司法修習制度で基本的な素養を身につけたプロが担務すれば事足りる。窃盗・詐欺・選挙違反などの身近に起こりうる事案であれば、制度の導入で国民の視点・感覚が生かされるされる可能性はある。しかるに強盗致死、殺人などの凶悪事件は、一般市民がメディアを通して目にすることはあっても、自らが量刑判断を行うことに関心を持つことはない。裁判員制度を導入するのであれば、身近に起こりうる軽度の事件を主たる対象とすることから始めるべきであり、制度設計の考え方に基本的な錯誤がある。

 裁判員には、選ばれる過程での虚偽申告や、立場上で知り得た情報の守秘義務違反に厳しい処罰が伴う。一方、守秘義務を基本要件とするはずの公務員、とりわけ官僚・法曹・捜査関係者のリークに基づくメディア報道には枚挙に暇がない。これでは裁判員制度を構成する関係者が、対等の立場で参加・評議することが担保されないことを意味し、制度が機能不全・破たんする予兆を無しとはしない。また、裁判員に過度な守秘義務を負わせれば、制度導入の効果を社会的に共有・検証することが困難となる。虚偽申告や守秘義務違反はどの程度まで厳密に扱われるのであろうか。公務員の守秘義務違反が俎上になる事例は稀であり、同程度の扱いとなるのであろうか。逆に、厳密な運用となれば、裁判員として協力する市民は激減することになる。(人の口に戸を立てるのが困難であるのは、西松建設献金疑惑で官僚組織のトップである漆間某が、地検リークの疑いの濃い情報をわざわざ流したことも好例ではある)

 制度の導入前に、取り調べの完全可視化の問題に結論が出されていない。一部可視化は逆効果をもたらす恐れがあることに議論の余地はない。捜査関係者が立件するための努力を惜しむことが無いとしても、圧倒的な捜査情報を持つ側が、有罪証明に整合する情報のみを選択的に提示することには合目的性があり 、志布志事件 などは顕著例である。冤罪を排除する裁判であるためには、捜査の透明性を確保すると同時に、検察の信頼向上が不可欠である。司法制度に国民の視点を反映するには、捜査審査委員会、裁判審査委員会等を制度として整備・定着させることも考えられよう。

 選任手続きにも問題が多い。思想信条の自由の上位概念に司法制度があろうはずもなく、参加は個々の自由意思に依拠すべきである。参加を希望しない国民が多ければ、そもそも制度導入の根拠が危ういのである。また、裁判官は検察官や弁護人とともに、裁判員候補者に対しその適格性を判断したり、辞退を希望する理由などを確認し、候補者に理由を示すことなく裁判員から外すことが出来るとされる。このことも裁判員が裁判官・検察・弁護人などの関係者と対等の立場で参加・評議することを困難とさせる一因となろう。

 参加に不安があることで裁判員制度に参加したくないというのではない。思想・信条や職業選択の自由の観点から、他人を裁く立場に自らを立たせたくないのである。司法が国民の感覚からずれていると考えるのではない。捜査の透明性や検察の行動様式に信頼感が持てないのである。人のなせる業である裁判に誤りはつきものである。しかし、市民総動員であっても裁判の過ちに免罪符を与えてはならない。不幸にして、死刑判決が冤罪となった場合、法律上は合法的な殺人指示・教唆となるのであろうか、裁判員の自責の念は晴れそうにもない。

 個人としては、@地裁からの呼び出し状に応じ、質問手続きの際に「制度に反対意見」を述べる、A罰金を払う覚悟で確信的な「うそ」を申し立てる、B他人に影響され易く独自判断が出来ないこと、守秘義務の遵守に自信がないことを自らの欠格事由とする、C選任された場合は罰金を前提に就任を拒否する、D呼び出し状の紛失を理由に出頭を忘れる、などを念頭に置いている。さらには、E評議段階で「良心的な判断放棄」を行うなども究極的な選択肢であると考えている。


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