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zoom RSS ひかりブロードバンド談義(光回線終端装置の開放問題)

<<   作成日時 : 2008/05/02 15:41   >>

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 我が家のインターネット接続はADSL回線のままに止まっている。FTTH(ひかりブロードバンド)への切り替えを幾度となく検討したことはある。しかるに、サービス内容や料金体系に納得できないことがあり、しばらくは従来回線にこだわり続けることに結論付けた。理由は光回線の終端装置が開放されていないこと、および光ケーブルの屋内部分の扱いが不透明であることにある。これまでのADSLにあっては回線終端装置(NCTE)を自由に選択できるとともに、屋内配線部分の買い取りが出来たが、FTTHはその自由度が閉ざされている。さらに、同程度のサービス・レベルでありながら、戸建と集合住宅で料金差が大きい点も見逃せない。

 水道、ガス、電力などの(公共的な)類似サービスと比較してみるとわかりやすい。これらのサービスでは利用者の敷地内に設置されている機器類や配線・配管などの使用料は無料である。保安機器やメーター類はサービス提供の前提となるものであり無償である。配線・配管類は設置・工事費を利用者が負担したとしても、使用料を要求されるようなことはない。それに引き替え、FTTHは屋内の光ファイバー配線に月額の使用料が課され、回線終端装置(光モデム)は有償貸与であり、加えて、電話サービス機能と一体化したルーターもレンタルとなっている。顧客宅内に設置される端末機器は使用者が自由に選択できることが基本認識である。端末開放はメーカー間に競争原理を作用させ、価格低減や利用者の利便性を高めることに結びついた。また、日米貿易交渉のテーマの一つにも取り上げられ、資材調達問題にも好影響を与えた。総務省は何故に、この先祖返りのような料金体系の届け出を受理・認可したのであろうか。

 1980年代に日米の貿易不均衡が顕著となり、日米構造問題協議が行われた。他国の内部事情に土足で入り込むような基本姿勢に嫌悪感を覚えたが、同時にその深い分析力に感心させられた覚えがある。これを受け、日米両政府は年次改革要望書を交換することとなり現在も継続している。これらの文書は米国大使館や、米国商務省のWebサイトで閲覧できる。回線終端装置(NCTE)に着目すると、1990年の日米合意を受け 「NCTEのユーザ設置について」 なる小冊子が発行された。その中で、対象となるサービスを限定列挙するとともに、将来のサービスを視野に入れ、FTTH(Fiber to the home)の回線終端装置が含まれることを明記している。具体的にはNCTE(Network Channel Termination Equipment)開放の前提となる技術情報開示をドミナント・キャリア(この場合はNTT)に義務づけた。この開示義務を総務省は突然反故にしたのである。

 通信ネットワークの過半のコスト要因である加入者系設備の投資回収のために、料金体系やその設定水準の検討は相当に注意深く行われたのであろう。ボトル・ネック設備となる光回線は、どのみち解放せざるを得ないことは容易に予見された。そんな中で歴史の歯車を逆転させるような、加入者宅内設備・機器の独占供給による投資回収プランが立てられたものと推定される。国内ルールはNTTからの出向者が在籍する郵政省(当時)の担当部門が作文すれば足りる。しかし、日米合意に記載された「NCTE開放義務」を何らかの手順でクリアすることが必要である。そこで、NTT発・経団連経由の規制改革要望書に応える形式をとり、日米間の年次改革要望書に、段階的緩和処置として織り込んだものと思われる。これら周到・姑息な手当が行われた後に、ひかりブロード・バンドの勧誘キャンペーン攻勢が顕著になったように見える。

 それにしても勧誘キャンペーンの、なりふり構わぬ強引さが気になる。初期工事費無料に加え、一定期間の月額料金やPC設定サービスを無料にしたりの優遇策で、FTTHへの切り替え加入を煽っている。家電量販店の店頭では、ヘルパーと称するNTTの関連社員などが、パソコン販売を手伝いながら光ブロード・バンドへの勧誘や申し込みの受付を行っている。また、これに便乗するかのように、PC購入時にプロバイダー契約を行うとPC価格を数十パーセント値引(ie. kick-back)するなど、”他社商品との抱き合わせ”まがいの販売手法を採るキャリア系ISPもある。NTTはADSLサービスの導入に消極的であった経緯もあり、光サービスへの切り替えを急ぐ理由があるのであろう。しかるに、宅内端末・回線終端装置開放の基本的な考え方や、その経緯を黙視するような手法に疑問がぬぐいきれない。 レガシー・システムにこだわっても、通常のNWアクセスに困ることはない。Internetサービスやその技術開発において、何故にか”追随者”に甘んじ続けた支配的事業者が、FTTHのキラー・アプリにInternetアクセスを位置づけた独善的な回収計画には、NGN構想の限界が垣間見える。

 総務省は、情報開示義務を廃止する理由として、標準仕様による機器を利用する事例が多くなったことや、情報開示の作業負担が、先進的サービスの迅速な供給を阻害する可能性があることを挙げている。しかし、国際標準仕様の流用は事業者負担を軽減させることを意味し、迅速なサービス供給にはむしろ効果的であると解すべきであり、結論ありきの論理破たんである。情報開示責任を放棄させ、標準仕様の機器を使用可能とするスキームが担保されていない制度改定は、 ユーザーの利便性よりも支配的事業者(dominant carrier)の都合を優先させたものに他ならない。”NTT霞が関出張所”ではなく、納税者・利用者の立場に立った但務の原点に回帰し、軌道修正することを強く求める。

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