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zoom RSS 破裂・発火する電池とシステム設計の相関

<<   作成日時 : 2006/10/28 13:54   >>

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 ソニーは自社製電池の破裂・発火問題に対し、パソコンのシステム構成との関係にこだわり続けている。初めて、この見解の危うさを指摘した時点から、事態はさらに深刻さを増しているように見える。富士通製のパソコンでも破裂・発火事故が発生した自社のパソコンでの破裂・発煙・発火事故は他社製電池の問題とする一方で、他社製パソコンの事故はシステム設計の問題を強調し続ける。システム設計の問題を指摘するのであれば、技術的な根拠を示し、これを立証するのが論理と考える。

 ソニーは最終的なバッテリーの自主交換プログラムを発表した。その会見基調既に回収発表した3社以外の6社については安全上の問題はないと断定し、自主回収はユーザーに安心感を与えるためであると、善意のトーンを強調した。さらには、パソコンのシステム構成上の問題は残るとの見解を繰り返したのである。皮肉にも会見当日に、富士通製パソコンでの破裂・発火事故が発生し、プレス・リリースや会見説明の矛盾点がはしなくも露呈した。電池モジュール(パック)の破裂・発煙・発火の原因は、リチウム・イオン電池セルの製造工程にあるとされる。論法に加えて、用語法の問題もあるのであろうか。システムの設計思想に触れるのであれば、自社のバッテリー・パックは電池システムとしての防護機能に限界があることを先ず明確にすべきである。現時点の電池パック仕様を所与とするのではなく、熱暴走による破裂・発火の可能性を有するリチウム・イオン電池セルの防護対策はバッテリー・パックで完結させるのが、システム設計の基本的な考え方であり、製造物に対する責任である。言葉を変えれば、本件はパソコンのシステム設計ではなく、電池モジュールのシステム設計・構造設計の問題と考える。この段階に至ってもソニーは状況証拠にのみ依拠した、従来見解を撤回または修正する器量を示し得ないのであろうか。

 先の論評でも触れたが、パソコンは電池がなくとも困らない。筆者のパソコンにはソニー製以外の電池モジュールが搭載されているが、以前からACアダプターのみで動作させている。少し横道に逸れるが、ノートパソコンを携帯性ではなく、省スペース目的で使用している人は少なくない。この意味でも、電池モジュールはオプション搭載として、パソコン価格に柔軟性を持たせることをメーカーは考えて欲しいものである。米国消費者製品安全委員会(Consumer Product Safety Commission)はそのニュースリリースで、対象となるノートパソコンからバッテリを外し、ACアダプターでの使用とするように助言した。これを受け、富士通もCPSCと同じ助言を掲載している。残念ながら、他の国内メーカー、経済産業省や業界団体などの動きは緩慢といわざるを得ない。

 一連の報道発表でソニーは、技術的実証ではなく、「他社では同様の不具合が発生していないこと」を唯一の根拠として、システム構成の問題があるとの、すこぶる文学的な論述を繰り返した。然るに、Dell社からApple社に飛び火した時点で、この神頼みの論法が破綻していたのは明白であった。さらに、Lenovo社、富士通と破裂・発煙・発火事例が拡大している状況で、どのような釈明が可能であろうか。バッテリー・パックに加えて、報道発表や会見内容をも回収したい位の内部事情が窺われる。事故には人知の及ばない面はある。しかし、本事例は初期対応の拙さが尾を引いているように考えられるのである。

 最大の問題点は、ソニー製パソコンに搭載した他社製電池モジュールの破裂・発火事故をソニーは経験していたことに加え、昨年から発生した事故情報を把握していながら、本質的な事故原因の究明や製造工程の問題分析に必要以上の時間を費やし、事故の公表を怠ったことにあろう。社内の電池部門とパソコン部門の連携・情報交換、さらにはDell社、Apple社以外のパソコンメーカーや電池業界との情報交換は行われたのだろうか。部門間の問題は組織が抱える風土病・生活習慣病である。既に発表した見解にこだわっても、立証責任は果たされる筈もなく、セットメーカーや消費者の疑念・不信・不安感を増幅させるのみと思われる。

 因みに、論評子の経験した通信用LSIの破裂・発煙問題は、とどのつまりは設計問題を認め、当時で数十億円の回収・交換費用となって終結した。それまで使用していたセラミック・パッケージで問題は発生せず、コストダウンのため、プラスチック・パッケージに切り替えたことにより、内在していた素子の耐圧問題が顕在化したのである。LSIの機能・性能・品質は、外装材料メーカーの問題としたり、これを搭載したシステムの責任とするのではなく、サブシステムとしてのLSIに閉じた問題と整理した。基本設計を担当し、昼夜を分かたず原因究明に当たってくれた技術課長は、説得空しく会社を去った。泣いて、”馬ショク”を切らざるを得なかった体験は、苦く・哀しく記憶に刻み込まれている。このLSIは代替品も代替技術もなかったことから、その後20年以上に渡り、ディジタル通信システムの基幹部品として生産・使用され続けている。

参考:
http://members.jcom.home.ne.jp/aisora2a/subfire.htm
http://home.att.ne.jp/sea/tkn/Issues/FushojiResponses-InferiorQualitySony.htm

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